【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
「小梛さん?だっけ。」
「は、はい。小梛羊です。」
「狼の彼女、でいいんだよね?」
「い、一応……。」
「そっか。……狼、怖いでしょ?」
「えっ。」
「遠慮しなくていいって。俺も最初怖かったし。」
「……さっき、怖くなくなりました。」
「そっか、……うん。小梛さんはいい人だ。」
うんうん、と何度も頷きながらそう呟く赤咲くん。
その姿はどこか嬉しそうだった。
「あいつあんな顔だからさ、根も葉もない噂よくされんの。本当はめっちゃいい奴なのにな。」
やっぱり噂は、間違いなんだ。
その事実にまた、心が温かくなっていく。
「知ってる?あいつの頭がオレンジ色な理由。店の名前がOrangeだから宣伝になるようにって染めたんだぜ?逆効果だよな~。」
剣崎くんの頭の色にはそんな秘密があったんだ……。
安直な考え方が剣崎くんらしいかも。
思わず笑ってしまう。