【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
「あ、羊。」
「なに、みっ子ちゃん。」
「剣崎には自分の気持ち伝えておきなよ。これまで羊が剣崎の事どう思ってたのか。今はどう思ってるのか。伝えておいた方が良いと思う。」
「……うん。私もそう思う。」
最初は好きじゃなかった。
怖かったし、言うこと聞かないとヤバいことになりそうって。
半ば強引だったし。
でも今は違う。
ちゃんと、自分の意志で。
剣崎くんのことが好きなんだ。
傷つけちゃうかな……。
でも、大切なのは今だよね。
今は、剣崎くんと同じ気持ちだもん。
言葉間違えないように。
思ってる事、ちゃんと伝えられるように。
みっ子ちゃんと分かれて、昇降口へと向かう。
その時、通りすがりの人の話し声が聞こえてきた。
「剣崎くん、子供誘拐してるって。」
「マジで?やばっ……犯罪じゃん。」
その言葉に、私は走りだした。
急いで靴を履き替えて、校門を潜り抜け駅へと走る。
きっと、いるはずっ。