【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
走るのあんまり得意じゃないし。
遅いし、直ぐ息きれちゃうけど。
今出せる全力で、地面を蹴った。
「け、剣崎くん。」
いたっ。
駅までの通り道の公園。
子供を肩車している剣崎くんを見つけた。
「小梛、どうかしたか?」
私の存在に気付いた剣崎くんは。
子供を肩車したままこちらへ歩いてきた。
「ど、どうしたの、その子。」
「ああ、迷子らしいから母親が来るまで一緒に待ってる。」
なっ、と剣崎くんが言うと。
楽しそうの笑う女の子が頷いた。
やっぱり、噂は誤解だった。
剣崎くんは剣崎くんだ。
胸のとげとげがなくなっていく気がする。
「小梛帰り遅いな。」
「みっ子ちゃん……えっと、友達とおしゃべりしてて。」
「そっか、いいな。」
無邪気に笑う剣崎くんにドキドキしてしまう。
笑顔、かわいい……。
昨日まで普通に話せてたはずなのに。