【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
下駄で歩幅がいつもよりも小さくなる私に合わせて。
剣崎くんもゆっくり歩いてくれる。
大きな剣崎くんが先を歩いてくれるから。
息しやすい。
さっきひとりで歩いてた時と大違い。
こんなに違うんだ、身長大きいと。
羨ましいなあ。
私も剣崎くんぐらいあったら見える世界違っただろうに。
ものさし分ぐらい離れた身長差。
顔を見る時はいつも見上げなきゃいけない。
でも、猫背にしてくれるから話しやすくて。
ぶきっちょさんな気遣いがあたたかい。
「小梛、食いたいものあるか?」
「えっと、いちごあめかな。」
「いちご、好きなのか?」
「うん、食べ物の中でいちばん。」
神社についても人が多いのは相変わらずで。
私たちは手を繋いだまま屋台を見て回った。
私がいちごあめが好きだと言うと。
すぐ近くにあったいちごあめの屋台にふたりで並んだ。
「うちの店も出店するか……?」
「えっ。」
お祭りにケーキ屋さん……?
それはちょっと違うような気もするんだけど……。