【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
怖くない。
ちゃんと、分かってるから。
優しくて、人思いで。
不器用で、照れ屋で。
笑うとすっごく可愛い。
私の好きな人。
今日、また新しく始める。
今度はほんとのほんとに心からのお付き合い。
好き同士の、恋人同士。
恋愛感情ありの、お付き合い。
私たちは見つめ合いながら、笑いあった。
夢を見た。
あの日見た夢の続き。
狼は羊を追いかけながら何かを言っていた。
あの時は聞こえなかったけど。
今は、はっきりと聞こえる。
“そっちは崖だ、危ない”
その狼の声を聞いた羊は前を見ると、すぐそこに崖が見えた。
狼の声を聞いていなければ、羊は死んでいただろう。
死にそうだったことに驚いて腰が抜けた羊の頭を。
狼は優しくゆっくりと撫でた。
“もう大丈夫だ、安心しろ”
その手のぬくもりは温かくて、優しくて。
羊はポロリ、涙を流した。