【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女

それでいて小さかった。
これ、150もないだろ身長。
ちっこいし軽いし、まるで羊みたいだな。


もふもふした白い羊を思い浮かべた。
ぶかぶかのカーディガンがまさに羊そのもので。
思わず笑みがこぼれた。


彼女は青ざめた顔で口に手を当てていた。
くるくるの髪の毛が顔を覆っていて、ちゃんと顔を確認することはできなかった。


駅に降り立って医務室を探していると。
見回り中の駅員さんを見つけた。


「すみません、あの……。」


「はい、なんです……ひっ!?」


さっきの女性同様、駅員さんも怯えたような顔をする。
俺だって傷つくんだけどな。
そう思いつつ、状況を説明すると。
慌てたように駅員さんが医務室まで案内してくれた。


案内された医務室のソファーに彼女を下ろす。
看護師らしき人が、彼女に優しく質問を始めた。


「名前、教えてもらえるかしら?」


「……小梛、羊です。」


本当に羊って名前だった。
印象と名前が同じで驚いてしまう。


「北校ね?学校には連絡しておくから落ち着くまで休んでいきなさい。」


「はい……。」


< 52 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop