【完】ヤンキー少年とコヒツジ少女
余計大きく見えたのかなあ。
今少し首が痛い。
それに、見下ろされてるのもあってか。
やっぱり剣崎くんは怖かった。
本当に噂通りの人なのかな。
明日、来ないでほしい。
近くにあるクッションに顔をうずめる。
心の中のもやもやは晴れなくて。
どんより模様。
とにかく明日。
剣崎くんにシメられないように。
ただそれだけを願った。
その日、夢を見た。
凶暴な狼が泣き虫の羊を追いかける夢。
狼は何かを叫んでいて。
でも羊はそれに気付かない。
その羊の代わりに私が耳を傾けてみるけど。
狼の言葉は聞き取れなかった。
あの時狼は何と叫んでいたのか。
羊になにを伝えたかったのか。
夢から目覚めた私はすっかり夢の事を忘れていて。
結局その言葉は分からずじまいだった。