かけがえのない人


小さく、ボロボロの本は大きい本と本の間に挟まれていて窮屈そうだった。

「ごめん、彩香、ごめんね」

気づいたらそうつぶやいていた。

うしろから歩いてくる音がした。

「愛結、ごめんね。お母さんはずっと家にいたからあなたがあの本をしまえずにいること気づいてた。でも、お父さんが今日帰ってきてわたしついその話しちゃって。そしたらお父さんはそんな本があったらいつまでも愛結は過去にしばりつけられてしまうていってね。
お父さん心配症だから。愛結のこと怒らせたくてやったんじゃないのよ。愛結には前に進んでほしかったのよ」


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