かけがえのない人
机の上のものや棚に置いてあるものから整理しようとして手を伸ばす。
彩香の本をみても今までよりかは心がずしんと重たくならなくなった気がする。
それが航と出会ったことだったり、美波に話したことだったり、親と話したことだったり、瀬那と会ったことだったり、いろいろあるかもしれない。
彩香に会って謝って、この本を返したいと思えるようになってきたのもあるのかもしれない。
そっと手に取って本をなでる。
彩香の分身ともいえるこの本がやっと愛おしく思えるようになってきた。
あのときのことを思い出すといまでも苦しくなるけれど、でもそれでも少しは成長できているのかな。
そのあとも本棚とベッドの位置を少しかえたり、わりと重労働だったけれど、一度はじめてしまうとわりと楽しかった。
模様替えした部屋を見渡すと、すっきりしてみえてたまにはこういうのもいいなと思った。