かけがえのない人
近くの喫茶店に入る。
「ねぇ、航どういうこと?肩、痛めてるんじゃないの?野球できないんじゃないの?」
終業式から会っていなかったのに、久しぶりという感じなんてなにもなくて、席に座るなりそう聞いたわたしを航は冷めた目でみてきた。
連絡先のときとか、夏休みのこととかそのことを話した時とは全然違う、もうなにもかもどうでもいいというような目だった。
「俺、お前に嘘ついてた」
「え・・」
嘘をついていたという事実と、知り合ってから愛結と呼ばれてきて、一度もお前なんて呼んだことなかった航に困惑した。