かけがえのない人
「どうしようか迷った。どうやったらお前に彩香と同じ苦しみを味わせてやれるんだろうって。でもなんとなくだけど、お前が俺に好意を持ち始めてきたことに気づいた。
だから、俺のこと好きにさせて、もっと仲良くなって、最終的にどん底に落とすつもりだった。友達のことも、お前が喧嘩したって話してた時に、過去のことをまだ話してないことに気づいたからあえて背中を押した。
その友達もそれを聞いてお前を裏切ってくれればいいと思って。まさか、お前の話をきいても仲直りするなんて思わなかったからそこは計算外だった」
淡々と話す航は本当に航なんだろうかと思うくらい別人だった。
それに、今までのことだって納得した。
本当はわたしなんかと連絡先なんて交換したくなかったんだろうし、夏休み会おうなんていわれたときは死ぬほど嫌だっただろう。