かけがえのない人
たったいま思い出した。まだ仲良くなってすぐくらいのときに聞いたことがあったんだ。
あのときの彩香の顔はいまでも覚えている。
悲しげで、でもすごく愛おしそうにその本をもっていた。
それなのに、わたしはその本を・・・
彩香が死にたくなるのも当然だ。
その子からもらった形見がなくなったことで彩香を支えている一部がなくなってしまったのだから。
命にかえても大切なくらいの宝物だったんだから。