かけがえのない人
・・・
「ねぇ、愛結はそれでいいの?」
「え?」
「このまま、逃げていいの?」
「逃げたくは、ない。けど、航にあう自信ない。あの学校がこわい。」
「たしかにそうかもしれないわね。でも、お母さんは違うと思う」
「・・」
「ここで逃げたら、一生変わらないと思う。愛結このまえいってたでしょ?いつかちゃんと本を返すって。それを聞いた時に思ったのよ。あ、この子は強いなって」
「強くなんてない」
「そんなことないわ。愛結は、ちゃんと過去と向き合ってる。自分の犯した過ちと向き合ってる。それってとても勇気がいることだと思う。こんなこといったらあれだけど、瀬那ちゃんは逃げたでしょ?瀬那ちゃんはきっと彩香ちゃんのことなんて忘れて気ままに、全く違う人生を歩んでると思う。でも、愛結は違う。ここで、逃げたらあのときの瀬那ちゃんと同じになるのよ」