かけがえのない人
「でも、あのときの根岸くんの必死な顔今でも覚えてるよわたし。すごいドタドタ廊下から走る音聞こえてきたと思ったらさ、ドアがバーンってあいてそれと同時に『愛結、山瀬愛結っていますか』ってきいてくるんだもん。わたしが倒れちゃって今日は早退しましたって答えたらさすごい心配そうな顔になってさ、ありがとうございますっていってまた走って行っちゃったの。あれが演技だったなんてわたしには思えない。心から、愛結のこと心配してるようにみえた」
「そう、なんだね」
「怖いかもしれないけどさ、もう一回ちゃんと根岸くんと話してみたら?ここで根岸くんと向き合わないと、彩香ちゃんって子ともきっと一生向き合えないとわたしは思うよ」
「うん、ありがとう」