かけがえのない人
「ちがうよ、わたしの思い込みかもしれないけど、あれが全部嘘だったなんて思えない。航が優しいの知ってるもん。誰よりも人想いなの知ってるもん。そうじゃなかったら、野球やめるなんてことまずしないでしょ。いくら彩香のためだったとして、でも野球のために勉強頑張って私立受験して、本当は甲子園だって目指してたでしょ?プロ目指してたでしょ?あのとき、肩痛めたんだって話してくれた時ずっと野球のグラウンドみてた。夏休みのときだって子供たちに野球教えてた。そのくらい野球が好きだったのに、償いのためにやめるなんて。やっぱり優しいよ航は」
「愛結に、なにがわかるの?」
「わかんないよ?憶測で話してるよ?航と過ごしたのなんてほんの2か月くらいで。でもその2か月でも航のいいところたくさん知れたと思う」