かけがえのない人
「航・・」
「彩香を苦しめた人に変わりはないのに、俺たちの家族を不幸にした人に変わりはないのに、それなのに純粋に愛結と話すのが楽しくなってた。そんな自分が自分で許せなかった。何度も、このまま図書室にいくのをやめようと思った。別にここでやめたところで、愛結はなにもいわないだろうと思ったし」
「うん」
「でも、できなかった。それくらい、愛結といると楽しくて、落ち着いて、素で話せてた。自慢じゃないけど、女子は俺の外見だけで近づいてくるから。愛結はそうじゃなくて俺のことちゃんと知ってくれた。いつの間にか、俺、愛結のこと好きになってた」
「・・え・・」
わたしの反応をみてすこし微笑む。