かけがえのない人


「でもこのままじゃだめだと思った。だからあの日、愛結を傷つける言葉をいった。本心のことももちろんある。彩香の本のことは本当のことだし、憎んでたのだって本当のことだし。でも、今までのことが全部嘘だってことは嘘。
このまま、愛結が転校してくれればいいって思ったんだ。そうすればもう一生会うこともないって。それなのに・・」

「転校しなかった」

「うん。本当は図書室に毎日通ってるのだって嬉しかった。彩香のこと忘れてないんだなって知れたから。あのときは自己満だなんていってごめん。それに、ひどいこともたくさんいった」

航は航で苦しんでいたんだとこのときにはじめてしった。



< 196 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop