かけがえのない人


わたしはそのままそこに土下座した。

「彩香、本当にあのときはごめん。謝ったって許してもらえるなんて思ってない。でも、それでもこうして一度ちゃんと謝りたかった。中学のときは自分も子供で、彩香が苦しんでたことに全然気づいてあげられなかった。本当にごめん」

「愛結ちゃん、頭あげて?」

頭をあげると目の前に彩香がいてそれでそのまま頭をこつんと殴られた。

「仕返し」

そういって無邪気に笑う彩香。

そうだ、こういう子だった。おとなしいけれどまわりをよくみていて、しっかり者で。いつもわたしと瀬那を助けてくれた。




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