かけがえのない人
最終章
今日もいつものように放課後図書室にいくと、航が話があるからといわれて、図書室とつながっているベランダにきていた。
「俺さ、本当に愛結のこと大嫌いだったんだ。憎くて仕方なかった。なんで彩香だけ、俺たち家族だけ、こんな目に合わないといけないんだろうって。でも、愛結のこと見てたらいじめなんかするような人にみえなくて、いつも笑ってて、図書室にも毎日通ってて。話すようになったら、さらに愛結のいいところどんどん見えてきて、本性引き出すために、わざと嘘のこと話したりしてどんな反応するかみたりしてたのに、それでも返ってくる言葉は優しくて」
そこでいったんきった航。でもすぐにこういった。
「大嫌いだったはずなのに、いつの間にか気になってて、いつの間にか好きになってた」
「っ」
思いがけない航の言葉に息をのむ。