かけがえのない人
喧嘩
「昨日どうだった?」
お昼ご飯を食べているときに美波がそう聞いてきた。
「実はね、連絡先交換したよ」
「よかったじゃん、おめでとう」
そういって自分のことのように喜んでくれた。
「うん、でもね逃げちゃった」
「え?」
「連絡先交換できてうれしくてね、ついついにやにやしちゃってたら、航にそんなに俺と交換できてうれしいってきかれたから、うれしいって答えたの」
「いい感じじゃない」
「それがね、そういったらそっかってすごく険しい顔でいわれちゃったんだ。それで弱気になっちゃった」
「そんなことないんじゃない?実際その顔みたわけじゃないから、わかんないけど、普通嫌な人とは連絡先交換しないよ」
それはわたしも思ったけれど、でもやっぱりあのときの顔がちらつく。