かけがえのない人
屋上に向かう間お互い何もしゃべらずに階段を上がる音だけが響いていた。
「図書室以外で愛結と話すのはじめてだな」
「そうだね。廊下ですれ違っても話さないもんね」
「だな」
そのまま会話が途切れてしまってどうやって切り出そうか迷ってしまう。
「で、話ってなに?」
でも航からそういってくれたので、そのままわたしも話し始める。
「うん、あのさ・・・もう図書室で会うのやめない?」
「なんで?」
案の定理由をきかれたから、わたしは用意していた言葉を口にした。
「逆にどうして航は図書室にきてるの?航友達とかたくさんいるでしょ?友達と遊んだりしないの?」
「そりゃいるけど・・・みんな部活はいってるから」
そういって少し寂しげに校庭のほうをみる航。