かけがえのない人
わたしと瀬那はその子と仲良くなろうと話して、その子の席まで話しかけに行った。
多分、この中学で彩香に一番はじめに声をかけた生徒はわたしだったと思う。
「はじめまして。山瀬愛結です。どこからきたの?」
彩香はいつも通り本を読んでいたけれど、わたしが話しかけると上を向いてくれて、
「森田彩香です。〇×小からきました。県は同じだから、そんな遠くないです」
と答えた。
元から声も小さいのか聞こえづらかったけれど、
「わたしは北見瀬那。〇×小きいたことある!」
と瀬那らしい明るい口調で答えていた。
その瀬那の言葉が嬉しかったのか、彩香が少し笑った。