かけがえのない人
病院までバスで行きたかったけれど、すごくずぶぬれでこんな状態ではバスには乗れないと思って歩いた。
病院に入っても、じろじろ見られたし、看護師さんに「あなた、そんなに濡れてどうしたの?大丈夫?」と聞かれたけれど「はい」と答えて受付の人に聞いた病室の前まできた。
ーーコンコン
ノックをすると男の人がでてきた。彩香のお父さんだ。わたしをみると驚いた顔をしたけれど、綾香から話をきいていたのか「何しにきた、帰ってくれ」といわれた。
「本当に、すみませんでした。彩香はまだ意識は戻らないんでしょうか」
頭を深く下げた後そう質問したけれど、
「君にはもう彩香と会ってほしくない。今後一切彩香に近づくな。わたしたちの前にもあらわれるな」
そういってドアをしめられてしまった。