Romantic症候群


カチャ


ドアが開く音に、心臓が飛び跳ねた。


-…や、どうしよ


ケータイを握りしめたまま、日美は床から立ち上がれないでいた。


「…日美ちゃん?」


「あ-…」


空気にも近い音が、口からこぼれた。


「彼方さん…」


安堵と、彼方に会えた喜びから、日美はポロポロと涙を流した。


< 29 / 47 >

この作品をシェア

pagetop