Romantic症候群


「12月なのに、裸足でフラフラ歩いてるから、気になって…」


自分の上着を日美の肩にかけながら、男は困ったように言った。


-…今日は、靴、履いてこなかったんだ


彼の言葉で、寒さとすり傷で赤く染まった足に気づき、日美はこの場をどう切り抜けようか必死に考えた。



「ちょっと、ついて来て」



しばらく日美の姿を眺めていた男は、決心したようにそう言うと、日美の腕をつかんで歩き出した。



「ちょっ、あの、どこに…」

「オレの働いてる店」



慌てて日美が尋ねると、彼は平然と答えた。



<OCEAN>


そう描かれた看板がかかるお店は、上品で高級そうな造り。






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