Romantic症候群


「大丈夫だから、そこ座って。温まって、足の手当てしたら送ってく」


「でもっ」


日美は彼の言葉に反発しようとしたが、その綺麗で強い瞳に見つめられ、大人しくそばにあったソファに腰掛けた。


日美の足元にしゃがみこみながら、彼は救急箱のふたを開ける。


「名前と歳は?」
「雨宮 日美…16歳です」
「日美ちゃんか。オレは、入江 彼方*イリエ カナタ*。ちなみに20歳」


少しだけ、幼さが残る彼方の顔に見惚れていた日美は、突如つま先に痛みを感じ、顔をしかめた。



「ゴメン、痛かった?」


消毒液を片手に持った彼方が、心配そうに顔を見上げてくる。






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