生意気オオカミの虜
羽奈ぁ 羽奈ぁ~ 置いてくなよ…
凛がまた泣いてる。
学校行くだけなのに…
凛、早くおっきくなって。
そしたらさ、一緒にいられるよ?
奇跡ってあるのかな、夢なら奇跡は自分で作れるかな?
そしたら凛に紳士を教えてやるんだ。
礼儀を知らないからね、大人になったら絶対いい男になるから。
それにしても綺麗な川だなぁ……
キラキラ、キラキラしてる。
“ 羽奈 ”
え?
私を呼んだ?
夢か幻か… 目の前にある流れる川に魅入っていると微かに声が聞こえる。
そしてその声に振り替えると遠くに見えるモヤの人影。
誰… え、私を呼んでるの?
「 ……奈… 羽奈… 」
聞こえる。
やっぱりまた泣いてる。
泣き虫の凛だ。
ゆっくりと瞼が開いていき、視界が定まらないが私の顔に幾つか滴が落ちてくる。
「 羽奈…? 母さん親父、おじさんおばさん!頼っ 」
耳に響く声が私の名前をたくさん呼ぶ。
だから思う、うるさいなぁって。