生意気オオカミの虜
凛を取り囲む女達に負けない叫びを投げた。
それはもう喉から何かが出てきそうなくらいの叫び。
私を一人置いて勝手に遠くに行った凛への何だかんだ入り雑じった叫び。
たった一言、たった一人の名前。
「 うぇっ、ゴホッ… 」
「 羽奈、大丈夫か?ったく… あ 」
“ 退け! ”
女の群れを掻き分け来る、私の可愛い奴。
「 羽奈っ 」
周りの声が… 消えた。
目の前に、私の凛がいる。
「 凛… っ 」
真っ直ぐ私を抱きしめて…キス。
抱きしめる気持ちは強く強く、痛いくらいに。
それはキスから始まる、再会だった。
どこからか聞こえる叫びに混じり、佐村さんの叫びもあった。
「 羽奈… 会いたかった 」
「 うん、会いたかった 」
らしくない涙が溢れて、凛を抱きしめた。
ここは二人だけの空気、誰であろうと邪魔してはならぬ。
そう、例え頼であっても。
「 凛… なんか別人すぎ、可愛くない 」
「 羽奈といる俺は可愛いはずだけど?」
それは言えてるね。