生意気オオカミの虜

凛からキスの嵐。

それはもう考える頭をなくさせてくる、甘い息づかいのキス。



「 羽奈… 大好き… 」



こんな日がくるなんてね…


私と凛、このまま結ばれ…


『ピンポン』… が連打。



うん?



頼か、ほかの訪問者?

しかめっ面に怒りが見える凛の顔に、焦る私。



「 俺の再会と人生で最大に大切なものとの繋がりを断ち切る奴は……どこのどいつだー!」



ひゃあぁ!!

凛が、怒りに満ちてるー!


私との繋がりって、元々絆深いはずだよね?



「 落ち着いてよ、凛 」

「 嫌だね 」



つ、冷たい…… その目、冷たいって!



「 凛、待って私が出… 」

「 誰だ!」

「 佐村ですぅ、すみませんが凛君、時間なんだよね… 」



ブチッ…



誰かの何かがブチギレしちゃった音が私と佐村さんにだけ聞こえた。

仕事の合間に私に会いに来た凛。

ただ、事が起こりうる想定は佐村さん的にはなくて悪意あって邪魔した訳じゃないんです。

が、しかし……



「 佐村、俺との契約!忘れてないだろうなぁ? 」

「 は、はい!もちろん!でも、仕事が~ 」



凛、私より大人社会に出て立派だね。

あちこちに凛の顔があって、でもその容姿が離れる前の凛じゃないのが寂しいよ。

えらくイケメンになっちゃって……



「 あの、あなたが羽奈さんですね 」

「 はい 」

「 凛君を仕事へ行かせてください、凛君はもうあなただけのじゃないんです 」



え……



< 109 / 120 >

この作品をシェア

pagetop