生意気オオカミの虜

凛ってばどーこ行っちゃったかなぁ?

ほんと勝手過ぎる。

甘やかしちゃダメだね。


一人窓から凛が来るのを見て待っていると、久しぶりにあの人が来た。


「 よ!羽奈ちゃん、元気?」

「 太陽さん!」


あの事故以来店に行けず額の傷も気にしていた私はバイト先である美容室を辞めていた。

そして太陽さんが何やら手土産付きで手を振っている。

私は急いで外へ出た。


「 お久しぶりです!」

「 急に羽奈ちゃんの顔見たくなったからさ~ 元気そうで良かったよ 」

「 はい 」


和む~ 太陽さん変わらないなぁ

いつもイケメンだし。


「 うまくいってる?例の幼馴染君と 」

「 あ~ 凛ですか… 実はつい数時間前に再会して殴ってやりたかったのに出来ませんでした、アハハ。だって ちゃんと男になってたし、変な感じです 」


そうか、と太陽さんは笑っていた。

凛がモデルになって、私の知る男としての凛をこれから知っていくんだと話しているところに、怒り露に現れた奴。


「 羽奈! そいつから離れろっ 」

「 凛!」

「 あ~ なるほど。実物はまた見違えるね 」

「 うるせーよ、羽奈から離れろ、5センチすら近づくな!」


何それ、ほんと勝手。

すっごい小っさ!!


「 凛、あのね、太陽さんは… ウエッ… 」


凛の腕が喉を圧迫。

そんなにも嫌なのかと理由を言ってほしい。


「 羽奈ちゃんまたな、店に遊びにおいで 」


はい、と返事するも凛が私の口を手で塞いでいる。


あ~…… 男になったはずなのに、なんて失礼な奴よ。

太陽さんと比べたらやっぱりまだまだね。


凛に部屋へと連れ戻されて、ムスッとしている凛の顔に溜息つく。

見た目立派になった凛は中身が大して変わっていない事に少し嬉しくもある。


「 凛、その顔やめて 」

「 羽奈… 来て 」


ムスッと座る凛が左手を伸ばしてきた。

その手を取るか、否か……




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