生意気オオカミの虜
しばらく喜びの輪が続き、泉沢両親が私の前に一枚の用紙を見せた。
う、そ!!
「 おばさん、これ… 」
「 婚姻届よ、凛のプロポーズ受けたんだもの~ 善は急げってね。だって羽奈ちゃん逃がすわけにはいかないのよ~ これ出したら私の娘ね、嬉しいわ~ 」
ひー、今書けって?
さすが、凛の親ね、ほんと似てるし…… ん!
保証人欄もう書いてあるー!
あ~ 私は凛だけじゃなくおばさん達からも囚われてたのね。
ほんと、私の人生って… 笑える。
「 羽奈、凛をよろしくな 」
「 頼… 言っとくけど凛を私一人になんてダメだからね 」
「 チッ 」
「 こら!」
俺は自由だー!ってそんなわけないからね。
いつまでも凛は私たちの凛だから。
まぁこれで凛の奥さんになったら恨み買うよ?
なんて恐ろしい……
いや、いやぁ!
でも、私が凛の… ふふ。
「 おばさん、羽奈幸せにするからね。約束、守るよ一生ね 」
「 凛ちゃん… ありがとね、羽奈をよろしくね 」
お母さんと凛が抱き合い喜んでいる。
何を話してるかはわからないけど、嬉しそうだから良しとしようか。
「 羽奈~ ケーキ入刀しようぜ 」
「 え… えー!それは式でやるもんだよ 」
「 やるんだよ、今!やりたいし、二人で。家族だけで 」
くー…… コイツはほんとに~
凛とのケーキ入刀に、両親たちは大喜び。
頼はもちろん写真撮影。
私はというと……
「 凛、指輪…ちょうだい?」
「 初夜にな 」
“最高に甘い夜にな、奥さん”
は?
甘い囁きが耳に。
何、初夜って… なんで?
欲しいのに、私の…指輪……
ハートのダイヤ……
「 私の指輪ー!!」
_ 完 _