生意気オオカミの虜
ゴツッと凛の頭にゲンコツをして、朝食準備に取りかかる。
私、甚野 羽奈、大学生。
バイトは美容室で受け付けなど担当。
うちのお隣さん兄弟、泉沢 頼(ライ)と凛。
頼と私は同じ大学、凛は高校生。
産まれてからずっと一緒にいるせいか家族そのもので違和感なし。
凛を一人の男としての意識は特にない。
頼は大学に入ってから益々モテ男になり、たまに私を盾に逃げたりする事もある。
ともあれ仲良し3人なんです。
なのに……
凛だけがおかしい。
私と頼が高校を卒業したのを境に言動がおかしい。
今みたいに部屋にいたりする。
呑気に私の適当な朝食を凛も食べている、この光景がどうにも腹正しい。
「 凛、学校は? おばさん知ってんの? あ、頼は知ってる?」
「 羽奈… 黙って食べれば?」
くっ… あんたが言うな!!
「 凛、たまに勝手に来るけど私鍵はちゃんとしてるのにどうやって… 」
凛はパンをかじりながら私に向けてチャリッと鍵を見せた。
それを見てピン!ときた。
「 それ… 合鍵!? いつの間にっ 」
「 おばさんが心配してたから、俺がたまに様子見てくるよって言ったら合鍵くれた 」
お… お母さんー!!