生意気オオカミの虜
困った、どうしよう。
凛をなだめようにも布団から出てこない。
ふと思い出す昔の事……
泣いたり怒ったりすると凛は大抵どこかに隠れる。
今も同じ。
ただかなり怒ってるだけ。
しょうがないなと布団の中に私は頭を突っ込んだ。
「 なんだよ、ブス 」
くっ…… 一声がそれか!
ダメ、今は怒っちゃダメよ、我慢!
「 今の凛はどうなの? 拗ねちゃって… 太陽さんは悪い人じゃないし、上司だからね。
私が行っちゃった事に怒ってるんでしょ、でも今いるじゃん。ね?」
「 約束、破ったじゃねーか 」
ん? 約束…… あ。
「 離れないって、あれね。ごめん、凛が太陽さんに余計な事言うからだよ 」
「 羽奈、俺とさっきの奴とどっちが好き?」
それも変わってないな。
「 凛に決まってるでしょ 」
私は絶対にそう答えるんだ。
「 羽奈、好きだよ 」
「 わかってます 」
さ、やっとゼリー食べれる~
「 わかってないよ、羽奈は 」
「 え… わっ!!」
布団が捲り飛び、私は凛にベッドへ引っ張り上げられた。