生意気オオカミの虜
「 凛、やり過ぎだ 」
「 頼兄は黙ってろよ 」
腑抜けてしまった私は凛がギューッと抱きしめているため顔すら上げられない。
むしろ、今はそれでいいと思う。
恥ずかしくてたまらないから。
いっそ消えたいわ。
「 凛、学校抜け出したな 」
「 羽奈は俺のだ、未来の姉?ふざけんなっ 」
「 だからそれは羽奈の友達がふざけて言っただけだろ 」
「 頼兄なんか大嫌いだ!」
「 な… 凛お前それ… 酷すぎるだろ!」
「 羽奈は渡さないからな!」
なんて…… なんて、低レベルな言い合いを。
兄弟だからこそだけど。
私を挟んでケンカとは……
尚更顔を上げたくない私。
可愛い弟に大嫌いだと言われ傷つく兄。
私を取り合うもなにも、二人の彼女でもない私を……
「 止めないと… 頼も凛も絶交だから 」
「 羽奈… 」
そう、絶交よ。
どう? 私の機嫌を取りなさいよ。
「 絶交ね…… 羽奈に嫌われるくらいなら他の女と寝てやるからな!」
「 え、寝… 寝て?え、凛ちょっと違… 」
「 羽奈じゃない女とヤリまくってやる!」
えーーーっ!!
論点ズラさないでよ、凛~
おかしいし!
なんでそうなるっ
「 凛、待って!!」
「 頼なんかより俺のがいいに決まってる 」
凛……