生意気オオカミの虜
何も知らない凛と、何も知らないで大学にいる羽奈。
「 羽奈、今日バイト休みでしょ?」
「 そうだけどなんで?」
「 羽奈、飲みに行こうよ 」
「 えー!金欠~ やだ、無理、また来月 」
「 千草はさぁ コンパだし~ 彼氏はボーリングやりに行くらしいし~ 暇!」
美世は暇だと言うが、話を聞いていてなぜか寒気がした。
空を見上げて雲が陰りを見せている。
雨、降る?
「 美世~ 天気ヤバいかも。帰ろ、私も帰るからさ 」
「 うわ、ほんとだ~ しょうがない帰るか 」
何となく辺りを見回し頼がいないか見てみた。
いたらいたで厄介だ。
早めに帰ろうと美世と大学を出た。
美世は途中まで送ってくれたため、雨が降らないよう祈りながらアパートへと急いだ。
と、アパート目前で目の前から来る凛に気づいた。
「 おーい、凛!」
私に気づいた凛が駆けてくる。
素直に顔に笑みが出た。
「 羽奈 」
「 おかえり、聞くつもりないけど一応、なんで家じゃなくてうちに?」
「 羽奈に会いたいから。文句ある?」
だよね、言うと思ってた。
じゃなかったらまっすぐうちに来ないよね。
可愛い奴。
「 今日はいいよ、上がって 」
頼が一人暮らしするってもう聞いたかな……