生意気オオカミの虜

互いに真剣な面持ちで顔を見合っているところにインターホンが。


またしても凛の小さな舌打ちが聞こえたが戸惑いながら苦笑し玄関で声をかけてみると……



「 羽奈、お母さんよ~ 」



お母さんでした。



「 はーい、いるよ、どうしたの?」

「 どうしたのってスーパーでちょっとね、安売りしてたからついでにね、って、あら!凛ちゃん来てたの~ 」

「 おばさん、久しぶりだね 」



ん? 久しぶりなの?



「 また背が高くなった?頼ちゃんに追いついてきたね 」

「 まだ成長期かもね。おばさん、シワが減った?若返ったんじゃない?」



どの口が…

シワは増えて消えないものでしょ。



「 凛ちゃんたらもう、嬉しい事言わないで。でもそうかも、最近コラーゲンサプリ飲んでるから 」



サプリねぇ……



「 羽奈、あんたも肌のためにサプリ飲みなさいよ 」

「 なんで私? 今いらない 」



下らない話より、お母さんは凛と話してばかり。

一時間なんてあっという間で、お母さんからの差し入れのデザートを一緒に食べていた。



「 聞いたわ、頼ちゃん一人暮らしするんだってね 」

「 あ… 」

「 え… 頼が?」



あちゃ~ 凛まだ知らないのに……

お母さんてば!



「 頼兄も家を出るんだな… 羽奈もいないし、俺だけ除け者みたいだ 」

「 ちょっと凛… 」

「 大丈夫よ凛ちゃん!」



お母さん?



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