生意気オオカミの虜

何が大丈夫なのか、お母さんは何を言い出すのか……


「 お母さん、凛は… 」

「 凛ちゃんは羽奈と頼ちゃんとどちらも行き来できるんだから、いつでもね。
子供が一人暮らしで自立して良い時も悪い時も経験して初めて生活が成り立っていくの。
そこに凛ちゃんがいないなんて、そんな事ないのよ? 羽奈を守ってくれる二人がいるから、羽奈はのんきに生活が出来てるの、凛ちゃんがいるからよね 」



と、なぜか凛にウィンク。

しかも中途半端なウィンクが見苦しい。


いったい何を言いたかったのか私にはわからず、お母さんは凛を頼りにしているのはわかった気がする。



「 おばさん、俺… 羽奈が好きだよ、だから一生羽奈を守るからね!」



え、どういう宣言?



「 あら!やっぱり凛ちゃんね。おばさんは凛ちゃんの味方よ、こんな羽奈をお願いね 」

「 こんなって何!」

「 大丈夫、羽奈には俺がいるから 」



え? ちょっとこの会話… 変!



「 じゃ、また来るけど羽奈も家に顔出しなさいね~ 」

「 うん、わかった。気をつけてね 」



お母さんは笑顔で安心したと帰っていった。



が、お母さん……

さっきの会話ちょっと、未来形な話じゃなかった?



「 羽奈 」

「 ん~? まったく、お母さんどんだけ買ったんだか… ねぇ凛、手伝っ…ん 」



ちょっ!?

な、今 なんでキス?



「 ん、も… 凛っ あんた盛りの犬みたい!」

「 犬? 」



あ… 失言?


うわぁ 顔が強ばってってる?



「 違うよ、間違えた。犬みたいじゃなくて、猫?じゃなくて~ 」

「 盛って何が悪い?羽奈が目の前にいるんだから触れたいしキスしたくなるだろ、我慢とかする気もない、好きだから 」



あ… あ、そうなんだろうけどさ……




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