生意気オオカミの虜
「 羽奈のヤツ、電話に出ない 」
「 どうせ寝てるんだろ、羽奈だからな 」
「 せっかくの焼き肉、羽奈にも食わせたかったのに 」
「 俺のおごりだけど?」
「 頼兄様だからいいだろ 」
人の気持ちは決して自分以外にはわからない。
悟られてもそれが本心とは限らないのだ。
「 帰りに羽奈ん家行こ、いいだろ 」
頼と凛がそんな会話をしてから1時間後、私は太陽さんに送られアパート前に車から降りて話していた。
そこへ、車で通りすぎる頼と凛。
頼、凛の瞳が見開き写るのは羽奈と太陽が一緒に笑い合う姿だった。
「 ……凛、落ち着けよ。羽奈にも付き合いってもんがあるし、あの人とは何でもないから 」
「 頼兄がそう思うだけだろ、俺は…… あんなの見たくなかったよ!ふざけんなっ
俺を好きとか言った後に男と会うかよ!!」
荒れ怒る凛に声がかけられない頼。
その場に戻らず凛と家に帰る。
何も知らず太陽さんと話しお礼を伝え帰るとすぐにスマホを見る。
「 あれ、凛… うわ、5回も電話してる~ 」
そして凛に電話するも留守電になるだけ。
そこで頼に電話をかけてみると、私は青ざめた。
胸が苦しく、動揺した。
凛が私に怒ってると思うといてもたっても居られずアパートを出て泉沢宅へと急いだ。