生意気オオカミの虜

泉沢宅。

インターホンを鳴らして、さらに鳴らしてみる。



あれ?



「 頼、凛いるー?」



返事ないって事は…いないんだよねぇ

どこいったの、凛……



凛への思いは確か、でも先を急ぎたくないと思うのは私のワガママ?

頼に電話するが頼も出ない。

その頃の兄弟は…車の中でちょっと大変だった。



「 羽奈は俺を男だと思ってないんだ 」

「 違うよ、少しは信じてやれよ凛 」

「 嫌だね 」

「 それが年下の答えだな 」

「 頼兄!なんだよ… 羽奈も頼兄もいつまでもガキ扱いすんなよ!」



凛は赤信号で止まっていた車からいきなり出て走り行ってしまった。



「 凛っ!!アイツ… クソッ 」



信号が変わり頼は凛の走り行った方へと車で追うが見失ってしまっていた。

頼は羽奈に電話して叫んだ。



「 …あ、すみません電話… はい?」

『 凛が!凛が消えたっ 』

「 は? ねぇ 何言って… 」

『 羽奈、今いる奴から離れろ!凛に何かあったら羽奈でも許さないからなっ 』

「 え、ちょっと!!」



何… どういう事?

凛が、消えた?


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