生意気オオカミの虜
頼からの電話に戸惑った。
何がなんだかわからない、一緒にいる太陽さんは何かあったのかと聞いてくれるが今の私にその声が聞こえない。
凛… ねぇ消えたって何?
頼が、怒ってた… あの頼が。
あ…
今一緒にいる奴から離れろって言ってた、それってまさか……
凛!
「 私…行かなきゃ!」
「 羽奈ちゃん!? 」
急いで車へ、そして太陽さんを無視して向かうは凛のもと。
ただどこかはわからない、頼に電話してみた。
「 あ、頼ごめん!今探してるんだけど凛は?」
『 まだ… 羽奈、お前はちょっと軽率だぞ、凛はこの先ずっと羽奈だけだ 』
「 もう!わかってるよ、私だってわかってるんだから 」
ほんと心配ばっかりかけて、だからお子様なんだよ。
いっつもそう、好き勝手にするくせに甘えん坊で……
すぐ怒るし。
でも、私は凛が可愛いの。
私の気持ちを急がせないでよ、お願いだから。
凛…
『 羽奈、今どこ?』
「 49号線で子供の頃よく連れてきてもらったあの店… っ!?」
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『 羽奈? 羽奈っ…… 』
私の記憶は途絶えた。
覚えてるのは眩しい大きな光に照らされ包まれた事だけ。
生暖かい赤い滴が私の顔を覆う。