太陽に照らされて〜キミと掴んだ光〜
「どうやって帰るつもり?」

俺は尋ねた。

すると彼女は、あっけらかんとした言い方で答えた。

「名鉄(名古屋鉄道)だよ」

テキトーだなぁと苦笑したが、これも全く彼女らしいと感じた。

辺りは相変わらずの人混みで、触れていないと彼女が何処かへ行ってしまいそうで、怖くなった。

そして、

「なぁ美緒」

「ん?」

「手…、繋ごうよ」

俺は言った。

…、が入ってしまった気がした。

でも、彼女はすぐに手を伸ばしてきて、その手は俺の掌(てのひら)に収まった。

女の子らしくて小さな手、細い指。

「「照れるね」」

ハモった。

それが余計に恥ずかしくさせる。

「ほらっ。着いたよ」

彼女が、照れ隠しのように言った。
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