太陽に照らされて〜キミと掴んだ光〜
「じゃあ、行こっか」

「うん」

手を繋ごうとして、気づく。

「その箱、何?」

彼女の左手には、お洒落なケーキ箱が握られていた。

俺の言葉で、「ああ、これね」という顔をする。

「これね、ラ・ミモザっていうお店の、チーズケーキなんだ。あたしの大好物」

ーチーズケーキ。

「さすがに手ぶらでお邪魔するのもどうかなって、思ってさ」

「うん」

「どうかしたの?」

彼女が訝しげに訊いてくる。

「…いや。実はさ、俺の父さんと母さんも好きなんだ、チーズケーキ」

「じゃあ、ちょうど良かったね!」

彼女の表情が晴れる。

2人並んで、歩き出した。
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