太陽に照らされて〜キミと掴んだ光〜
ー試合場に入り、礼。

中央の開始線に立ち、蹲踞。

俺もゆっくりな方だけど、川合はもっと遅くて、おまけに竹刀を頭のずいぶん上から下ろすものだから、見た目よりも、体が一周りも二周りも大きく感じた。

「始めッ」

試合が始まり、立ち上がる。

川合は、中段の構え(剣道の基本的な構え。攻守ともに強い構えである)から竹刀を一切動かさない。

あまりにも変わらないから、ロボット、あるいは人形のように思える。

「カテェェーーー」

試しに小手を打ち込んでみる。

川合は体捌きでかわす。

そしてすぐに中段で構え、遠間の間合いを保つ。

しばらく、そんなのが続いた。
< 60 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop