太陽に照らされて〜キミと掴んだ光〜
病室の前で、美緒が待っていた。

「まだ、いたのか」

すると、彼女は悲しそうな顔をした。

「あたしがいたら、迷惑?」

別に美緒がいるからって、何かあるわけでもない。

「全然」

ふっと、彼女がほころぶ。

「ねぇ、今、ケータイ持ってる?」

「あるけど、何?」

そう言いつつ、ポケットからスマホを取り出す。

高校へ入学すると同時に買ってもらったもので、まだ2ヶ月くらいしか使っていない。

「連絡先、交換しよう!」

彼女の言葉に、戸惑ってしまう。

「だってさ、お兄ちゃんのこと知ってるの拓海くんだけだし。何かあったらすぐに相談したいから」

「ああ、分かったよ…」

面倒臭そうにする演技をしつつ、俺は内心すごくドキドキしていた。

好きな女子との連絡先の交換と、そこからのベタな展開の妄想で、頭が一杯になった。

「じゃあ、試しにメールするね」

彼女の言葉で我に帰った。

そして彼女は背を向けて、何かを打ち込み始めた。
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