副社長と恋のような恋を
山岸さんがそう言うと、村田先輩は「はーい」と言ってすぐにやめた。
村田先輩の名前は夏美。だからなっちゃんと呼んでいるんだなと思い、私も小学生みたいな思考で頭の中はキャーキャー言っている。
「祐樹、ビール飲みたい」
「今日、休肝日にしようって、なっちゃん言ったよね」
「言った?」
二人の会話はカップルそのものだった。
特に山岸さんは村田先輩への好きですって感情が駄々洩れしている。親睦会のときもわかりやすかったけれど、今はもっとわかりやすい。付き合っていることを言ったから、隠す気がないのだろう。
二人が注文を終えると、村田先輩がニヤニヤしながら聞いてきた。
「私さ、ずっと酒井ちゃんと副社長って怪しいなって思ってたんだよね。二人とも甘い空気みたいなのはないんだけど、連帯感みたいなのがあったんだよね。やっぱり私の勘に狂いはなかった」
「いつから、そう思ってたんですか?」
「最初から怪しいなとは思ってたんだけど、確信が持てたのは三カ月前くらいから。そう、都築先生のプロットを選んでるとき。あのとき二人、目で会話してた」
あの時か。あれは副社長が好き勝手したせいだ。
「そうかな? 無意識だからわからないな」
副社長は堂々ととぼけている。あの時は確信犯だと思う。
村田先輩の名前は夏美。だからなっちゃんと呼んでいるんだなと思い、私も小学生みたいな思考で頭の中はキャーキャー言っている。
「祐樹、ビール飲みたい」
「今日、休肝日にしようって、なっちゃん言ったよね」
「言った?」
二人の会話はカップルそのものだった。
特に山岸さんは村田先輩への好きですって感情が駄々洩れしている。親睦会のときもわかりやすかったけれど、今はもっとわかりやすい。付き合っていることを言ったから、隠す気がないのだろう。
二人が注文を終えると、村田先輩がニヤニヤしながら聞いてきた。
「私さ、ずっと酒井ちゃんと副社長って怪しいなって思ってたんだよね。二人とも甘い空気みたいなのはないんだけど、連帯感みたいなのがあったんだよね。やっぱり私の勘に狂いはなかった」
「いつから、そう思ってたんですか?」
「最初から怪しいなとは思ってたんだけど、確信が持てたのは三カ月前くらいから。そう、都築先生のプロットを選んでるとき。あのとき二人、目で会話してた」
あの時か。あれは副社長が好き勝手したせいだ。
「そうかな? 無意識だからわからないな」
副社長は堂々ととぼけている。あの時は確信犯だと思う。