副社長と恋のような恋を
「せっかくですからヴェールもつけましょうか」
近くにあったマネキンがつけているヴェールが外された。佐藤さんは、私の短い髪を軽くブラシで整えてからヴェールをつけてくれた。
「いかがですか? とてもお似合いですよ」
鏡に映った自分を眺めた。なんだかとても照れくさかった。妙な緊張感と、にやけてしまいそうな表情。いっぺんに感じることのない複数の感情があった。
「さあ、川島様も着替えが終わったようですよ」
佐藤さんが裾を持ち、私は足元に気をつけながら、ゆっくりと歩いた。用意されていた白いハイヒールを履き、フィッティングルームを出る。すると、目の前には白いタキシードを着た副社長がこっちを向いて立っていた。
「どうですか?」
私はぎこちなく副社長に問いかけた。
副社長は、私をじっと見てから少し視線をそらし、また視線を戻した。
「すごく似合う。本当にきれいだよ」
そう言った副社長がゆっくりとこちらに近づいてきた。こっちをしっかり見つめながら近づいてくる副社長は、小さいころ読んだ童話に出てくる王子のような雰囲気があって、見たいのに直視できない感覚に陥った。
「前に結婚を控えた男友達が、結婚式を挙げるのは一番きれいな彼女を見たいからって言っていたんだ。それを聞いたときはわかるようなわからない感じがしたのを覚えてる。でも、今実感した。友達が言っていたことが理解できる。ウェディングドレス姿っていいな。自分のために着てくれたって思うとなおさら」
近くにあったマネキンがつけているヴェールが外された。佐藤さんは、私の短い髪を軽くブラシで整えてからヴェールをつけてくれた。
「いかがですか? とてもお似合いですよ」
鏡に映った自分を眺めた。なんだかとても照れくさかった。妙な緊張感と、にやけてしまいそうな表情。いっぺんに感じることのない複数の感情があった。
「さあ、川島様も着替えが終わったようですよ」
佐藤さんが裾を持ち、私は足元に気をつけながら、ゆっくりと歩いた。用意されていた白いハイヒールを履き、フィッティングルームを出る。すると、目の前には白いタキシードを着た副社長がこっちを向いて立っていた。
「どうですか?」
私はぎこちなく副社長に問いかけた。
副社長は、私をじっと見てから少し視線をそらし、また視線を戻した。
「すごく似合う。本当にきれいだよ」
そう言った副社長がゆっくりとこちらに近づいてきた。こっちをしっかり見つめながら近づいてくる副社長は、小さいころ読んだ童話に出てくる王子のような雰囲気があって、見たいのに直視できない感覚に陥った。
「前に結婚を控えた男友達が、結婚式を挙げるのは一番きれいな彼女を見たいからって言っていたんだ。それを聞いたときはわかるようなわからない感じがしたのを覚えてる。でも、今実感した。友達が言っていたことが理解できる。ウェディングドレス姿っていいな。自分のために着てくれたって思うとなおさら」