副社長と恋のような恋を
エレベータを降りると、彼はこっちと言って、先をどんどん歩いていく。
ずっと座っていたから気がつかなかったが、彼は背が高い。一六一センチの私より二〇センチは高いように見える。長い手足に広い背中。学生時代、スポーツでもやっていたのだろうか。
「ここだよ」
そこはこの階の突き当たりにある窓だった。展望台エリアではない。多分、デザイン上に必要だったか、明かり取りの窓だろう。
「見てごらん」
窓にゆっくり近づく。窓の向こうをのぞいた。
「うわ、きれい」
そこにはこのホテルの中庭が見えた。中庭にはクリスタルのようなものでできた、雪だるまや天使のモニュメントが飾ってある。モニュメントの中にライトが仕込まれていて、赤や青といった色に変化していく。その光が地面に反射して、大きな光の花を作りだしていた。
「ここに窓がある階はここだけなんだ。昨日の夜、なんの気なしにのぞいたら、あまりにきれいでね。中庭に出て見るより、数倍きれいだと思わない?」
「ええ」
お礼を言おうと彼のほうへ顔を向ける。至近距離で見る横顔。切れ長の目に筋の通った鼻。自分が思っていた以上に、この人は格好いい人なんだと思った。
ずっと座っていたから気がつかなかったが、彼は背が高い。一六一センチの私より二〇センチは高いように見える。長い手足に広い背中。学生時代、スポーツでもやっていたのだろうか。
「ここだよ」
そこはこの階の突き当たりにある窓だった。展望台エリアではない。多分、デザイン上に必要だったか、明かり取りの窓だろう。
「見てごらん」
窓にゆっくり近づく。窓の向こうをのぞいた。
「うわ、きれい」
そこにはこのホテルの中庭が見えた。中庭にはクリスタルのようなものでできた、雪だるまや天使のモニュメントが飾ってある。モニュメントの中にライトが仕込まれていて、赤や青といった色に変化していく。その光が地面に反射して、大きな光の花を作りだしていた。
「ここに窓がある階はここだけなんだ。昨日の夜、なんの気なしにのぞいたら、あまりにきれいでね。中庭に出て見るより、数倍きれいだと思わない?」
「ええ」
お礼を言おうと彼のほうへ顔を向ける。至近距離で見る横顔。切れ長の目に筋の通った鼻。自分が思っていた以上に、この人は格好いい人なんだと思った。