副社長と恋のような恋を
「兄さんが一時帰国するらしいんだ。麻衣のことを話したら会い立って言ってきて。俺の予定と兄さんの予定が合う日、来週の日曜日しかなくてさ」

「そうなんだ。その日で大丈夫だって返事していいよ」

「わかった」

 副社長はスマホを操作し、少し待ち、また操作した。

「日曜日で決まったよ。食事する場所はこっちで決めてっていわれたんだけど、麻衣は行きたいところある?」

「特にないかな。一時帰国する間、お兄さんはどこに泊まるの?」

 もしこのマンションに泊まるのならば、ここで私がなにか作るのもいいかなと思った。

「兄さんの知り合いがホテルでマネージャーをしているらしくて、そこのホテルに泊まるって」

「そうなんだ。なら、そのホテルの近くでいいお店ないの?」

 副社長はちょっと待ってと言って、スマホで調べ始めた。

「ねえ、和食と洋食どっちがいい?」

「海外にずっといたんだし、ちゃんとした和食がいいんじゃない。海外ってなんちゃって和食のお店も多いって聞くし」

「そうだな。あ、てんぷらの専門店がある」

「いいんじゃない」

「ここにしよう」と言って、副社長はスマホをローテーブルの上に置いた。

「お兄さんに会う日、都築麻衣の恰好じゃなくていいよね」
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