副社長と恋のような恋を
それと同時進行で書き下ろしを書いている最中だ。ただ、プロットから話が一向に進まない。書いていることは書いているんだけど、納得がいかない。そのため、中途半端にできた短編が何作も保存されている。
あまり筆が運ばないため、角田さんにメールをした。角田さんからの返信は至ってシンプルなものだった。
“主人公に記憶を辿らせてみてはどうですか”
それはいいかもしれないと思った。人の記憶なんて曖昧のもので、自分の善いようにも悪いようにも変えることができてしまう。角田さんからのヒントによって、小説は順調に進んだ。
それと同時に、私の中で変化が起きた。小説を書いているうちに、主人公と同じように自分の記憶を辿ることをしていた。
真実を知り、すべてを嘘だと思ってしまった自分。始まりがどうであったにせよ、彼が取った行動や言葉には嘘はなかったように思う。
一緒に食べた料理、一緒に見た映画、喜んでくれたドレス、繋いだ手、抱きしめてくれた腕。そのひとつ一つにあまりにもたくさんの優しさが溢れていた。ひとつの記憶を思い起こすたびに、涙が出そうになる。結局、涙を流さずにいることはできなかった。
あまり筆が運ばないため、角田さんにメールをした。角田さんからの返信は至ってシンプルなものだった。
“主人公に記憶を辿らせてみてはどうですか”
それはいいかもしれないと思った。人の記憶なんて曖昧のもので、自分の善いようにも悪いようにも変えることができてしまう。角田さんからのヒントによって、小説は順調に進んだ。
それと同時に、私の中で変化が起きた。小説を書いているうちに、主人公と同じように自分の記憶を辿ることをしていた。
真実を知り、すべてを嘘だと思ってしまった自分。始まりがどうであったにせよ、彼が取った行動や言葉には嘘はなかったように思う。
一緒に食べた料理、一緒に見た映画、喜んでくれたドレス、繋いだ手、抱きしめてくれた腕。そのひとつ一つにあまりにもたくさんの優しさが溢れていた。ひとつの記憶を思い起こすたびに、涙が出そうになる。結局、涙を流さずにいることはできなかった。