副社長と恋のような恋を
「デビュー作と今の作品を読むと、その作家さんの変化っていうのがはっきり見えるからね。その変化が自分の好みだと、変化の足跡を辿りたくて、発売順に読んでいくんだ。それが俺の読書スタイル」
「読書家なんですね」
「学生のころ、通学時間が長くてね、暇つぶしに読んでいたら本好きになっただけ」
久しぶりにデビュー作を広げた。懐かしいと思った。あのころ文章を書くのが楽しくて仕方がなかった。
周りは合コンだの、彼氏ができただの、恋愛の話ばかりだった。大学生なんてそんなものだろう。私は恋愛よりも小説だった。自分の頭の中に広がる世界を活字の中で生かすことが楽しかった。
「副社長から見て、都築麻衣はどんな変化をしていましたか?」
「技術は上がっていると思う。物語の構成力、人物描写も格段に向上している。ただ、勢いが落ちたとも思う。このころの荒々しさ、すごく好きだと思った」
角田さんに言われたことだ。きっと、どの読者も同じことを思っているのだろう。だから、私はデビュー作を超えられないんだ。
「でも、都築先生は自分の登場人物を愛しているということが伝わった。時々、作家自身が生み出した人物を愛していないんだろうなって思う作品に出会うんだ。あれだけは頂けない」
「読書家なんですね」
「学生のころ、通学時間が長くてね、暇つぶしに読んでいたら本好きになっただけ」
久しぶりにデビュー作を広げた。懐かしいと思った。あのころ文章を書くのが楽しくて仕方がなかった。
周りは合コンだの、彼氏ができただの、恋愛の話ばかりだった。大学生なんてそんなものだろう。私は恋愛よりも小説だった。自分の頭の中に広がる世界を活字の中で生かすことが楽しかった。
「副社長から見て、都築麻衣はどんな変化をしていましたか?」
「技術は上がっていると思う。物語の構成力、人物描写も格段に向上している。ただ、勢いが落ちたとも思う。このころの荒々しさ、すごく好きだと思った」
角田さんに言われたことだ。きっと、どの読者も同じことを思っているのだろう。だから、私はデビュー作を超えられないんだ。
「でも、都築先生は自分の登場人物を愛しているということが伝わった。時々、作家自身が生み出した人物を愛していないんだろうなって思う作品に出会うんだ。あれだけは頂けない」